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高尿酸血症、痛風について

 

みなさん、こんにちは。

12月に入りに、本年も残すところわずかとなりました。

 

          

 

 

今回は高尿酸血症、痛風についてお話ししたいと思います。

みなさんは高尿酸血症の定義をご存知ですか?

 

 

高尿酸血症は、性別・年齢を問わず、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものと定義されており、成人男性の20%、成人女性の5%が罹患していると言われています。

 

ではなぜ高尿酸血症になるのでしょうか?

健康な人の体内では、1日に約600〜700mgの尿酸が作られ、同じ量が尿や便として排出されます。常に約1200mgの尿酸は体内に蓄積されており、これを「尿酸プール」といいます。尿酸値は尿酸を作る量と出す量のバランスで保たれておりますが、このバランスが崩れることで高尿酸血症は起こります。

 

 

尿酸を作る量が多いタイプを尿酸産生過剰型、尿からの排泄が少ないタイプを尿酸排泄低下型、便からの排泄が少ないタイプを腎外排泄低下型と言います。

 

ではなぜ高尿酸血症を放置すると良くないのでしょう?

 

高尿酸血症が続くと、血液に溶けきらなくなった尿酸が結晶となります。これを尿酸一ナトリウム(MSU)結晶と呼びます。

 

 

上の写真のように針状、棒状の結晶です。

結晶化した尿酸が手足の関節に蓄積され、これを白血球が破壊しようとすることで、炎症と激しい痛みが出現し、痛風発作(=痛風関節炎)が引き起こされます。

また高尿酸血症は腎機能障害の原因となることも知られています。尿酸は主に腎臓から排泄されるため、尿酸の結晶が腎臓に蓄積することで腎機能の低下を引き起こします。さらに高尿酸血症は高血圧発症のリスクを高めることが知られています。これは尿酸の結晶が腎微小循環系血管における平滑筋細胞の増殖や炎症を引き起こすことが原因と考えられています。

 

尿酸降下薬には尿酸産生抑制薬と尿酸排出促進薬があります。尿酸産生過剰型には尿酸産生抑制薬を使用し、尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬を使用することが推奨されてきましたが、フェブキソスタット(フェブリク)やトピロキソスタット(トピロリック)と言った尿酸産生阻害薬は腎機能障害のある方にも使用可能であり、尿酸排泄低下型にも有効であることが示されているため、最近は尿酸産生阻害剤から治療開始することが多くなってきています。

 

 

 

高尿酸血症は、痛風発作による痛みを発症しなければ特に何も症状がありませんが、高血圧や腎機能障害や脳・心血管イベントの発症リスクとなるために、健康診断などで指摘された際には一度当院にご相談ください。お待ちしております。

 

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