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肝機能障害について①〜アルコール性肝障害〜

みなさん、こんにちは。

院長の河合です。9月中旬になっても厳しい暑さが続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。

 

当院では多くの方に健康診断を受けて頂いていますが、血液検査で異常を指摘されることの多い項目の1つとして肝機能異常があげられます。今回はその肝機能異常についてお話をしたいと思います。

 

健康診断で行う肝機能検査にはAST、ALT、γ-GTP、ALP、Bilなどがあります。肝機能障害は肝臓が何らかの原因で障害を受け炎症が起こり、肝細胞が壊され、血液検査でこれらの数値の異常値を示します。

 

健康診断における肝機能異常の原因として多いのが脂肪肝です。脂肪肝の原因はアルコール性のものと非アルコール性のものに分けられます。その他の原因としてウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎、薬剤性肝炎や肝胆道系疾患などがあげられます。

 

健康診断の血液検査で肝機能異常を指摘された患者さんのフローチャートを下にお示しします。

 

 

 

 

まず超音波検査で脂肪肝があるかどうかを確認します。またB型肝炎やC型肝炎、自己免疫性肝炎、薬剤性肝障害がないかを確認します。脂肪肝以外に肝障害の原因が見られない場合、アルコール性肝障害または非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)と診断されます。

 

アルコール性肝障害は過剰な飲酒の継続が原因であり、通常5年以上の過剰なアルコール摂取が原因と考えられています。過剰な飲酒とは1日に純エタノール換算で60g以上の飲酒を指します。1日の適度あるアルコール量として、厚生労働省は純エタノールで20gとしています。下に目安を示すので参考にしてみてください。

 

 

自然経過としては、アルコールの過剰摂取でまずアルコール性脂肪肝となり、その後アルコール性肝炎やアルコール性肝線維症となり、最終的にはアルコール性肝硬変へと病状進行していきます。

 

 

血液検査ではASTがALTよりも有意に上昇し、またγ-GTPやALP高値を指摘されることが多いです。特にγ-GTPは発症早期から他の肝胆道系酵素よりも上昇することが特徴です。

 

アルコール性肝障害の治療は断酒につきます。アルコール依存症の場合は精神神経科的、社会的アプローチが必要となります。その他断酒を補助する目的で抗酒剤が用いられることもあります。長期飲酒されている方はビタミンB1やビタミンB12が不足していることが多く、ビタミンB1欠乏では多発神経炎やWernicke脳症をきたし、ビタミンB12欠乏では大球性貧血や末梢神経炎を起こすことがあるため、適宜補充を行います。

 

次回は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease)についてお話ししたいと思います。お楽しみに。

 

文責 河合 陽介

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